好熱菌が採卵鶏と豚に与える影響に関する研究成果発表
2016年2月18日付で、好熱菌に関する最新の研究論文が、学術誌Journal
of Bioscience and Bioengineeringのオンライン電子版に掲載されました(千葉大学と京葉プラントエンジニアリングなどとの共同研究成果である)。
養鶏におけるメリット:
採卵鶏において、産卵率の改善とともに、飼育が1年を超えた鶏においてもM玉の卵の生産率が有意に増加することが証明されました。通常、長く飼育した鶏ではL玉の大きな卵が増えることが知られており、破卵化しやすいことも知られています。一方、M玉は、卵の相場の中でも高い値で取引され、飼育期間の短い若い鶏が産みやすいことが知られています(日経新聞・朝刊 マーケット商品欄 2016.2.18)。好熱菌発酵産物を用いることによって、すぐに若い鶏に切り替えなくても鶏を比較的長く飼うことができることになるため、採卵鶏業界における利益率改善に貢献できる可能性があると期待しています。
養豚におけるメリット:
豚では、好熱菌発酵産物によって、産歴を重ねた母豚でも死産率が減る可能性があることを既に報告していますが(英国獣医学会誌Res. Vet. Sci.
93:137-142, 2012)、今回の試験結果では、好熱菌発酵産物の給与によって、母豚とともに、その影響を受けた子豚においても糞中の乳酸やアンモニアの濃度が低いレベルに維持されることが明らかになりました。そして、このような腸内環境下では、肥育豚の出荷日齢が短縮する可能性があることが示唆されました。この成果は、好熱菌発酵産物の養豚経営における有効性のみならず、糞中の代謝物などを予め確認することによって、飼育成績を想定できることにつながり、飼育管理のルーチンにも活かせる可能性があると期待しています。
公開された論文
Journal of Bioscience and Bioengineering
関連URL
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1389172315004971
PubMed
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26896863